自転車に乗るときに頭を守るヘルメット。子供の間では着用が進んでいるが、成人ではあまり見掛けない。特に、ほとんど着用していないのが高齢者。高齢者は身体能力が衰えて転倒の危険も高く、死亡事故につながる可能性も高いだけにヘルメットをかぶるよう啓発する自治体が増えてきた。高齢者が違和感なくかぶれるようなヘルメットも登場。「自転車に乗るならヘルメット」の意識を高めようと関係者は力を入れている。(袖中陽一)
鈍る運動神経
昨年10月、大阪府泉大津市の市道で60代の男性が自転車に乗っていたところ、軽乗用車と接触、転倒して頭を打ち、脳挫傷で亡くなった。男性はヘルメットをかぶっていなかった。大阪府警泉大津署の真崎純次交通課長は「ヘルメットを着用していれば死亡事故を防げた可能性がある」と話す。
昨年1年間に大阪府内で自転車運転中、事故で亡くなった65歳以上の高齢者は20人。このうち、15人が頭部の打撲などが致命傷になった。「高齢者は自覚はなくても運動神経が鈍っており、転倒しても手がつけず、頭を直接、道路などにぶつけてしまう」(同府警交通総務課の高木一光警部)