がん細胞の増殖や進行に関わる複数の酵素を阻害するタイプの薬(マルチキナーゼ阻害薬)では、「手足症候群」という症状が出る。手足に赤みや痛みが出て重症化すると、やけどのような水泡と激しい痛みに見舞われる。
積極的に相談を
こうした症状は、分子標的薬の投与前から治療や予防の計画を立てておけば、的確な皮膚障害の治療薬の投与や塗り薬、スキンケアで改善できる。ところが、各地のがん専門の医療施設以外は、がんのチーム医療に皮膚科の専門医師が参加することが少ないという。
早くから皮膚科を含めたチーム医療を展開している静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)の清原祥夫(よしお)皮膚科部長は「分子標的薬の延命効果がある患者ほど皮膚障害が出やすいというデータがある。その点を見極め、救命を優先しながらも、容貌の変化や行動の制約などにつながる皮膚障害を改善し、患者の精神状態を含めた生活の質を高める必要がある」と強調する。