いや、まさにそうだと思う。この夏、子供連れで東京ディズニーランドでミッキーに会うのもいい。またUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でハリー・ポッターを体験するのもいい。が、この文庫本を持って、緑豊かな山里で、清らかな水の流れる静かな昼下がり、木陰でノンビリと本書を読む、疲れた日々を癒やしてくれる名作です。
読むほどに、そういえば昔、北海道で大きなフキの葉の下で雨宿りをしたことを想い出したり、山の中に木々で小さな小屋を友達と一緒に建てて、秘密基地だ、なんて言いながら、時の経(た)つのを忘れて遊んだ日々、自分自身の原風景に久々に出逢(であ)えました。
私は今、小さな電気自動車に乗っています。「コロボックル」という名を勝手に付けて…。(講談社文庫・本体552円+税)
【プロフィル】桂文珍
かつら・ぶんちん 昭和23年、兵庫県生まれ。桂小文枝に入門。古典、新作ともこなす。著書に『落語的ニッポンのすすめ』ほか。