新しい鼓膜再生療法は、北野病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の金丸真一医師(59)が平成19年に開発。鼓膜は再生しやすいという特徴に着目、長期間破れたままになっていた鼓膜でも条件を整えれば、3週間ほどでほぼ正常に再生することが分かり、治療に応用した。
治療はまず、穴の縁に傷をつけ、鼓膜のもとになる細胞を活性化させる。栄養因子「b-FGF」を含ませたゼラチンスポンジで穴をふさぎ、外部と遮断するため、「フィブリン糊(のり)」でカバー。10分程度の施術直後から正常に近い聴力が回復するという。3週間後に糊をはがし、完全に再生していない場合は、何度か繰り返す。
金丸医師が統計を取ったところ、破れた部位が狭い場合は3回以内に約95%の患者で完全に鼓膜が再生。広範囲に穴が開いていた場合でも4回以内に約83%が成功し、聴力を回復した。