『死んでしまう系のぼくらに』最果タヒ著(リトルモア・1200円+税)【拡大】
この詩集の中では、渋谷の街が語られたと思ったら次の瞬間には遠くにある惑星の話が始まっているというようなことが頻繁に起こる。2013年の世界を語ると同時に、2千年後の未来を想像したりもする。いわばそこでは空間も時間も関係なく、ただ言葉だけが蠢(うごめ)くことになるのだが、愛と死の距離を測ろうとする真剣な眼差(まなざ)しがあるからこそ詩的世界は常に引き締まったものとして立ち現れる。
この詩集は、私たちにとって無関係な世界の記述では決してない。言葉がもたらす幸福も哀(かな)しみも、向けられる対象は「きみ」なのである。だからこそ私たちは、語られる世界を愛しく思い、そこに寄り添うことができるのだ。(リトルモア・1200円+税)
評・坂上秋成(作家・文芸批評家)