□『飼育係はきょうもフィールドへ 水族館屋のユメ・ウツツ物語』
■生態研究の輝き、教育の原点
著者は姫路市立水族館を定年退職し、引き続き嘱託館長を務める水生動物飼育の第一人者である。そして産経新聞の播州版に50回連載された「水族館屋のユメ・ウツツ物語」を一冊の本にまとめた貴重な現場報告書といえる。
私は本を読むとき心に残った箇所を記憶するために、そのページに付箋(ふせん)を貼ることを常としている。この本も習慣として付箋を貼りはじめたが途中で止(や)めてしまった。それはどのページも面白くて全ページが付箋で埋まってしまったからである。
東京の芝学園に生物の教師として2年間を過ごした青春時代がプロローグとなっている。驚いたことに、その後、水族館に赴任してからの40年間、還暦を迎えた生物部の教え子たちが、先生を慕い続けているのだ。