東京都多摩地区で建築中の一戸建て住宅【拡大】
1950年代には高度成長による建設ラッシュが起きた。都市部を中心に人口が急増し、東京や大阪の近郊にニュータウンが建設された。政府は持ち家制度を奨励し、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が低利融資を行い、住宅ローン減税のしくみも作った。
量の確保が最優先で、質の良い建材を用いて手入れをしながら長く使うという戦前の住宅建設の概念は後回しだ。地価は右肩上がりに上昇し、建物に価値はなくても土地の価値は残るため、早期に住宅を取得することが有利とされた。住宅総数は60年代後半に総世帯数を越えた。
やがてバブルが崩壊し、世の中が不動産価格は必ず値上がりするという「土地神話」の夢から覚めても、政府は一貫して住宅建設の後押しを続けた。