73歳での大学進学も、「誰もやってないことをやる」というクドい執念に支えられてのことなんだな。
受験勉強用に、まず本屋で英語の参考書は買ったものの、「これは単なる説明書だ」と割り切り、必要なページをコピーしてノートに貼り付けていき、自分だけの参考書を作り直した、なんて、そりゃ普通の73歳じゃできない。
お葬式はしたくないが、やるなら芸能人の会場と一般人の会場は別にしてね、と年寄りっぽいことを言う一方、死んだ後に放送する自分のテレビ番組の内容は全部決めている、と、これまたクドい一言。
元気でクドい。もしこのクドさが今の若者たちにあったら、日本のテレビや、日本全体がもう少し面白いことになったろうに、と逆に考えさせられてしまう一冊だ。(ポプラ社・1300円+税)
評・山中伊知郎(フリーライター)