注意したいのは、夫の厚生年金と基礎年金の全額を4分の3にするのではない、ということ。年金には、1階部分にあたる「基礎年金」と、2階部分にあたる「厚生年金」がある。4分の3にして遺族厚生年金になるのは2階部分の厚生年金のみ。1階部分の基礎年金は個々人のものなので対象外だ。
山田さんのように、夫の年金全額を4分の3にするのだと勘違いする人は珍しくない。社会保険労務士の高本博雄さんは「多くの人が、ご主人の年金全額の4分の3を受け取れると思っている。計算額を見て『え、これだけ?』と言う人は多いです」と指摘する。
遺族厚生年金にはもう1つ、勘違いしやすい点がある。
妻に自分の厚生年金がある場合、遺族厚生年金として上乗せされるのは、AやBの計算方法から、妻の厚生年金を差し引いた額。妻の元々の年金額と比べて増えるのは、計算式で出た額と自身の厚生年金の差額分だけだ。ケースAでは、9万円から妻の厚生年金4万円を引いた5万円が、ケースBでは、8万円から妻の厚生年金4万円を引いた4万円が、妻の年金に上乗せされる。