「分かった風になる」これが一番いけない 雇用主と従業員の関係 (1/3ページ)

2015.7.26 06:00

 この本を読んで新卒の入社試験の際、面接官がぼくに見せた表情を思い出した。

 「学生時代、いろいろな枠を超えて活動してきたため、人の付き合いが年齢の幅も含めてとても広いです。会社に入った後も、社外の人たちとの関係を深め、そのまま会社の仕事に貢献したいです。そうしたことを目的にしたサロンを個人的に作るのも夢です」

 ぼくがこう話した時、表面上笑みを浮かべながら、「何を青臭いこと言ってやがるんだ。」という表情が裏にはあった。ぼくも「つまらないサラリーマンがエラソーに…」という反発心があった。

 30年以上昔の赤面もののエピソードである。

 この本とは「ALLIANCE - 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」(リード・ホフマン他著、篠田真貴子監訳 ダイヤモンド社)だ。著者はペイパルの創業に関わったのち、プロフェッショナル相手のSNSであるリンクトインを立ち上げた人物である。

 「終身雇用の時代はもはや終わった。今こそ雇用主と社員の関係を見直す時ではないか。ビジネスの世界は、相互信頼と相互投資、そして相互に利益を高めるような新しい雇用の枠組みを必要としている」とあるカバーの文章を読んで、30年以上前の面接官には悪いことしたなあ、と思い出した。

 さて、終身雇用制の権化のような自動車メーカーに勤めながら、ぼくは社外活動「にも」勤しんだ。しかし、担当したヨーロッパの自動車メーカーとの取引によちよち歩きの平社員のネットワークを有効活用できる機会はほとんどなかった。

 国内営業のような部署だったら話は少し違ったかもしれない。

業界など問わず、あるいはビジネスとプライベートを分けず、いわば…

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