「分かった風になる」これが一番いけない 雇用主と従業員の関係 (2/3ページ)

2015.7.26 06:00

 業界など問わず、あるいはビジネスとプライベートを分けず、いわば全人格的なビジネス活動に時間とエネルギーを使いたいと考えたぼくは、数年間のサラリーマンをやめてイタリアに来た。

 その頃、イタリアに輝く中小企業群とそれらをチーム化するコーディネートシステムが日本でも注目されていた。1980年代から1990年代のことだ。

 例えば、ある商品に使われる部品ごとに中小メーカーがあり、コーディネーターが有名デザイン事務所に商品企画を依頼し、メーカー群をひとつのチームにして新規品をつくる。

 社外ネットワークが成功の鍵である。

 ぼくは日本でサラリーマンをやっている時、このメカニズムに関心があり且つ羨ましいと感じた。小さいチームで新しいコンセプトを作り上げることに目標をおきたいと考えていたぼくには絶好の見本に見えた。今の日本では比較的一般的になっているあり方だが、あの時代では違った。 

 しかしながら、それらの関係当事者の契約がどうなっているのか、コーディネーターがどこからどういうお金をとるのか。そもそも「どういう気持ちで仕事をするのか?」がイマイチよく想像できなかった。

 これらを十分に実感できたのは、イタリアでまさしくそうしたチームの一員としてプロジェクトをいくつもこなしたからだった。

 結局において、みなが一様に気にするのは、このチームで信頼に値する長期的なビジネスができるか?である。駆け引きに翻弄されやすいがゆえに、安定的な関係を心の底ではことさらに望む。

もちろん、願わくば、自分の人生を台無しにするような事態は避けたい

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