「東南アジアの運転士だったら、運転席に入れてくれたり、セルフィーで記念写真を撮ったりすると思うよ」
「そんなことをしていると、列車を時刻表通りに運行できないんですよ」と、運転士の事情にも詳しいミスター・スジ鉄。運転士や乗務員も、心中では鉄道を好きになってくれる少年たちの応援が嬉しいけれど、安全を管理しつつ秒単位で正確な運行を成し遂げるには、なかなかファンの相手をしているゆとりがないらしい。
なるほど、だからあの国の鉄道は慢性的に遅れるわけか。思わぬところで腑に落ちた。
ところで、今回乗車したなかで、もっともローカル色があり気に入ったのが水戸線だ。友部駅発小山駅行きだが、ここまで来ると「上り」「下り」と言われても、小山行きが上りか下りか、とっさに判断できなくなる。
さらに「遠くまで来た」よろこびを体感できるのは、ことばのアクセントだ。ミニスカートをはいた女子高生たちのかわいらしい方言に、思わず耳をそばだてる。