社会学者 鈴木涼美氏【拡大】
【田原】キャバクラで稼いでいたから、お金に困っていたわけじゃないよね。AVに出演した理由はなんですか。
【鈴木】ポルノの背徳感に、なんとなく憧れがあったんです。昔の日活のポルノ女優さんって、昼の舞台に出ている女優さんに比べて退廃的な魅力があって、なんかかっこいいなと。
【田原】僕は日活ロマンポルノの白川和子という女優さんをよく知っているんだけど、白川さんはかっこよかった。日活はインチキな会社で、ポルノを「猥褻じゃない。芸術だ」といって上映していました。でも白川さんは「猥褻でいいのよ。私のヌードを見て男性がイッてくれれば、これほどうれしいことはない」と胸を張って言っていた。鈴木さんはどうですか。あなたのAVを見て男性が射精してくれるとうれしい?
【鈴木】出演する前はとくに考えてなかったです。でも、やってみると、男の人に欲望されることで自分の価値を実感している私がいました。フェミニストからは怒られそうですけど、やっぱり男の人に自分のことを欲望してもらえないのは寂しい。AVの世界は、自分がどれだけ欲望されているのかということがお金やランキングでわかりやすく示されます。その意味でAV女優は、女性にとって承認を得られやすい仕事なんだと思います。