クール駅で機関車を付け替え、進行方向が変わり、最後尾から最前列に変わると、勾配がなだらかになったこともあり、車内の揺れがぐっと軽減された。揺れのせいで飲みづらかったビールがあちこちでぽんぽん開く。
「乗車証明書をお忘れなく」。終点が近づくと、エラインさんが声をかけてくれた。氷河特急の乗客は、いくつかの駅で乗車証明書を発行してもらうことができる。どこでお願いしても同じものが受け取れるこのサービスも、またシームレスだった。
■取材協力:スイス政府観光局/スイス インターナショナル エアラインズ/スイストラベルシステム
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら