政府案では、現在は大臣告示で定める三六協定の残業上限を労基法に明記し、罰則も直接この条項を根拠とする。特別条項については「月60時間、年720時間」の上限を新たに設定する。1日の勤務時間が午前9時~午後6時(休憩1時間を含む)で月20日間勤務のモデルケースの場合、1日平均で午後9時までの3時間の残業が上限になる。
ただ、経済界から「繁忙期の残業を考慮してほしい」との要望が強いため、一時的な上限超過を認める。「1カ月100時間超または2~6カ月の月平均80時間超」の「過労死ライン」と呼ばれる過労死の労災認定基準を踏まえ、年720時間(月平均60時間)の年間上限の順守を前提に「過労死ライン」の範囲内での残業を可能とする。
モデルケースに当てはめると、1日平均で午後11時まで5時間残業できる月が出てくる。しかし、年720時間の年間上限を守るためには、別の月の残業を20時間まで減らさなければいけなくなり、残業は1日平均1時間、午後7時までとなる計算だ。
さらに、三六協定の例外となっている建設作業員やトラック運転手については、猶予期間を設けて、他の業務と同様の残業上限規制をかける。研究・開発者は裁量労働制に移行させる方向だが、裁量労働制でも、労使で設定するみなし労働時間に他の業務と同じ上限時間を設定する。
14日の実現会議では、繁忙期の残業上限が大きな争点となる見通しだ。「過労死ライン」の範囲内での一時的な残業を認める政府方針に、経団連の榊原定征会長は1日の実現会議後、記者団に「妥当な水準の案」と評価する一方で、連合の神津里季生会長は「到底あり得ない」と批判した。