専門医に聞くアルコールの科学(後編) 酒に弱い人の無理飲みはがんリスクが上昇 (4/6ページ)

 アセトアルデヒドには毒性があるので、食道がんだけでなく、咽頭がん、大腸がん、肝臓がん、乳がんなどのリスクも高まります。

 --乳がんにもなるのですか? なぜ胸に影響が出るのでしょうか。

 アセトアルデヒドは分解されるまでに、血液に吸収されて体のなかをぐるぐる回りますから、いろんな臓器に影響が出るんです。前編でお話したとおり、アセトアルデヒド自体はアルコールよりも体内に残る時間は短いんですが、「弱い+強い」タイプの人はアセトアルデヒドの分解が遅いことがありますから。

 --酒に強い人よりも弱い人のほうが健康リスクは高い、ということでしょうか。

 先の調査で示されたように、同じ量を飲めば弱い人のほうがリスクは高いといえます。とはいえ、実際には酒に強い人はたくさんアルコールを飲んでしまいがちで、そこが問題になります。

 前編で、体内に酒が入ったとき、アルコールをアセトアルデヒドに分解する主な酵素としてADH1Bを紹介しました。じつは、大量に酒を飲んだ際にはADH1Bだけではなく、「ミクロソームエタノール酸化系(MEOS)酵素群」も働くようになります。このMEOSのなかの中心的な酵素であるCYP2E1は、アルコールの血中濃度が高いときに登場し、ADH1Bより速いスピードでアルコールを分解します。すると、酒に強い人は「まだ酔っていない」と感じて、余計に酒量を増やすことになりがちです。

少しずつ作られるアルコールへの「依存」