
人生の締めくくりをテーマにしたセミナーに参加した高齢者ら。「終活のことを考えない日はない」といった声も聞かれた=千葉市【拡大】
同市福祉部の北見万幸次長は「親族がいても断られる例が多い。生活が苦しくても十数万円程度の蓄えがある人もおり、生前に契約していれば本人の希望をかなえられる」と話す。夫に先立たれた妻が「納骨堂で隣同士に」と希望し、実現したケースもあるという。
自治体の動きについて、終活支援に詳しい第一生命経済研究所の小谷みどり主席研究員は「費用が出せないなどの理由で、利用者は多くないかもしれないが、事業を知っておくだけでも安心につながる」とみる。その上で、「日本の福祉は亡くなるところで終わっているが、納骨までの公的支援を検討すべき時ではないか」と提案した。
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■終末期の事前指示66%賛成
厚生労働省は、一般国民を対象に実施した終末期医療に関する意識調査の結果を公表している。終末期の治療方針について自分が意思決定できなくなった場合に備え、どんな治療を受けたいか、受けたくないかを記した「事前指示書」の作成には66.0%の人が賛成した。このうち実際に指示書を作成済みの人は8.1%で、平成25年の前回調査から増えたものの、少数にとどまった。前回は指示書作成に賛成が69.7%、うち作成済みは3.2%だった。