
6月まで開かれていた「週刊少年ジャンプ展VOL.2」の会場の様子=東京・六本木【拡大】
しかし、本当に私たちが学んだのは「友情、努力、勝利」だけなのだろうか。違う。むしろ、私たちがジャンプから学んだのは「理不尽さ」ではないだろうか。
『週刊少年ジャンプ』は、アンケートハガキ至上主義で知られている。読者アンケートで人気が下がった作品は強制終了されてしまうというものだ。ジャンプとその関係者を描いた漫画『バクマン。』にもそのあたりの事情は描かれている。
特に印象に残っている、打ち切り劇とされる騒動で言えば、『魁!!男塾』の著者として知られる宮下あきらが手がけた『瑪羅門の家族』である。もともとは読み切り漫画だったということもあり、長期連載は想定していなかったのかもしれないが、1年も待たずして終了したのは正直、意外だった。
最終回は大変に理不尽なものになることがある。たとえば、『ハイスクール!奇面組』などは、一連の作品の中身がヒロインの夢だったともとれる終わり方で、賛否を呼び、論争となった。
なお、この「強制終了」の問題だけでなく、「強制続行」というものもある。人気があるので終わらないのである。『北斗の拳』なんかも、ラオウを倒して終わってくれたらまさに「我が生涯に一片の悔い無し」だったのだが。
その点、『デスノート』は当初から、人間の煩悩の数と同じ108話で終わることを前提に描いたと著者が語っており、実際、その通り達成できたという点で好印象だった。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』も、作者が好きに終わらせたという印象が強い。
設定についての矛盾も多数あり、そこからも大人の事情を学んだ。『魁!!男塾』に至っては、当初、巨大すぎるだろという身長だった大豪院邪鬼が適度なサイズに途中から変化していたりもした。