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【軍事情勢】逃げなかった昭和の軍人と逃げたマッカーサー (5/5ページ)

2013.9.15 09:00

 意地を通した敗軍の将

 東久邇宮殿下は公式に絡む。マッカーサーに面談した宮は仰せられた。

 「米国は封建的遺風打倒を叫ぶが、私は封建的遺物の皇族。もし不適当とみられるなら、明日にも首相を辞める」

 マッカーサーは「貴殿の思想・言行が非民主主義とは思わない」と応じた。だのに宮は1945年10月、内閣総辞職を断行する。内務省をめぐるGHQの「内政干渉」は「不承知」と、ささやかな抵抗意志を示したのだ。ただ、意地を通した敗軍の将=宮に、マッカーサーは好意を抱いたと思っている。

 マッカーサーは中尉時代、古武士然とした威厳を備える元帥陸軍大将・大山巌(1842~1916年)や陸軍大将・乃木希典(1849~1912年)らに会い、圧倒された。「鉄の如く強靱な性格と不動の信念」を備えた《明治の軍人》を生涯敬った。来日3日後の45年9月2日、米戦艦ミズーリ艦上での降伏調印式を終え、武門の神を祀る鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)に礼式に従い参拝してもいる。

 《明治の軍人》の強烈な風格が青年将校マッカーサーを痺れさせ、心密かに士道を亀鑑としていたのだろう。一方で《昭和の軍人》に大敗を喫し、フィリピン戦線から《逃げた》。生涯唯一といえる軍歴の傷も手伝い、日本憎悪や日本人蔑視を歴史に刻んだ。しかし、縷縷述べてきた如く《昭和の軍人》にも士道を感じていた。

 全てとは言わぬが、戦場と法廷で《逃げず》に戦った《昭和の軍人》たちが、マッカーサーには眩しかったに違いない。(政治部専門委員 野口裕之)

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