米国の図太さ
それでも、イラクの石油利権奪回も狙った米国の図太(ずぶと)さは、ロシアさえ霞む。決議1441採決の日、米国連大使は公言した。
「決議そのものは(戦争の)自動承認のためではない。決議は2段階の過程を経る。安保理は全ての行動(戦争)前に、協議する機会を得る」
だが、前述の如(ごと)く「戦争前の新決議」はなし。その後もロシアは、米国などのマジックにしてやられる。友好国リビアへの軍事介入は決議1973(2011年採択)が論拠だった。ロシアは慎重だったが、アラブ連盟による空爆容認や非常任理事国のアフリカ諸国が全てが賛成する流れを受け、拒否権を行使できず棄権に回る。決議の性格が民間人保護とその対策だった点が大勢を決したのだ。ところが、介入は大規模でカダフィ政権崩壊まで続行された。斯(か)くして、リビアの反体制派に細いパイプしか持たないロシアは、リビアへの影響力を激減させる。