対中武器輸出は、1936年に日独防共協定を結びながら密(ひそ)かに継続。37年の中ソ不可侵条約で態度を硬化したアドルフ・ヒトラー総統(1889~1945年)が兵器輸出を禁じるまで続く。それでも契約済み兵器は輸出され、完全な禁輸・顧問団撤退はドイツが満州国を承認した38年。国民政府と断交、“親日”の汪兆銘政権を認めたのは、日独伊三国同盟締結より1年近くもたった41年になってからだった。
近年、ドイツの「代理人契約」には中国共産党の宣伝まで含まれるようになった。ヘルムート・シュミット元首相(94)は昨年も、過去再三表明してきた中共観を披瀝(ひれき)した。
「中国は他国を侵略したことも、植民統治した歴史もない、世界で最も平和を愛す大国。大規模に軍事拡張しているが、戦争をする野心はない。中日領土紛争は懸念していない」
中国関係の著書まである氏に、事実誤認があろうはずもない。為(ため)にする発言の狙いは奈辺にあるのか。89年の天安門事件を契機に対中武器禁輸を続けるEU。解禁の旗振り役でも買って出るつもりか。そういえば、石油ショックの教訓から親イスラエル路線を引き継がず81年、サウジアラビアに戦車を売ったのはシュミット氏だった。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)