雨期が安定しないために、ヌーが川を渡る時期は年々、予測が困難になっている。牧草の減少は、周辺で家畜を遊牧させるマサイ民族などの地元住民と、ヌーなど野生動物との対立にもつながっているという。
「気候変動の影響は大きい。温暖化が関係しているのではないか」。ムチェミが憂い顔で語る。
人間がストレス
ヌーたちの生態系を脅かすもう一つの大きな要因は人間の活動だ。
マサイマラ周辺は土地が肥沃で、1970年代から農地化や遊牧民らの定住が進む。繁殖地域も狭まって約20年間で草食獣の生息数が相当な割合で減少、それに伴って肉食獣も減った。
キソツは「ヌーが移動できる区域も、昔と比べれば大幅に減った」と語り、ため息をついた。