観光客やマラ川沿いなどに設置される宿泊キャンプの増加も、ヌーの移動には大きな障害だ。
川渡りの時期には、何台ものサファリカーがマラ川付近に集まる。「観光客や車の音を怖がって、ヌーが川渡りをやめてしまうのはしょっちゅうさ」と、長年サファリ運転手を務めるジョージ・オチエング(35)。立ち入り禁止区域に車を乗り入れて、動物にストレスを与える客も多い。
また年間数万頭のヌーが食肉目的の密猟被害に遭っていると推定されており、生息数減少の恐れが懸念されている。
「いつか、ヌーの川渡りが見られなくなるかもしれない」。ムチェミら専門家は、大自然の驚異がまた一つ、地上から消えてしまうことを真剣に心配している。(敬称略、共同/SANKEI EXPRESS)