【KEY BOOK】「花森安治の仕事」(酒井寛著/暮しの手帖社、1470円)
花森の編集制作力は徹底している。新入社員にはカメラを買わせた。大事なものを記録できないかぎり編集などできないという方針だ。料理を見たりしたあとや、会議をしたりしたあとは、そのことを文章に書かせた。どんなこともわかりやすい文章にできないかぎり、編集なんてできないという哲学なのだ。しかし、なんといっても花森が徹底したのは「検証」だった。世の中の商品が暮らしに役にたつのかどうか、結論が出るまでテストし、検証した。そのためにはさまざまな角度から「商品」を見る目が必要だった。これらを通しているうちに、花森はむろん、スタッフ総勢が「世間の虚偽」と「社会の過剰」に気が付いていった。「暮しの手帖」の真骨頂は、そこにある。