【KEY BOOK】「一銭五厘の旗」(花森安治著/暮しの手帖社、2415円)
昭和43(1968)年、花森は「暮しの手帖」一冊まるごとつぶして「戦争中の暮しの記録」を特集した。戦争時代の生活記録がないことに業を煮やしてきた花森の、乾坤一擲だった。116万部が売れた。翌年、雑誌は創刊百号を迎えたが、花森は旅先で心筋梗塞で倒れた。意を決した花森は「武器を捨てよう」「戦場」「国をまもるということ」「無名戦士の墓」「見よ ぼくらの一銭五厘の旗」などを次々に書いた。本書はそれらをまとめたものである。読売文学賞を受けた。これらのなかで花森が問うたのは「自分と国とのあいだの貸し借りにケリをつける」ということだった。そのうえで戦後日本が町に歩道橋をつけたときに、戦争に代わる過剰を犯したと告発した。