「初めていただく味なのに、不思議と懐かしさも感じられます」と驚いていると、「京都のおばんざいの定番『にしんなす』から考案しました」とオーナーシェフの見舘孝司さん(39)が説明してくれた。
お造りは大トロとヒラメ。しょうゆ代わりにオリジナルのトッピングでいただく。銀だらの西京焼きに添えられた生麩の田楽みそは、みそとクリームチーズの相性のよさにうなった。
黒い大きな皿に盛りつけられた「つぼ鯛のソテーとカニのカダイフ巻き」は、まるで一幅の絵のようで、崩すのがもったいない。「奥は山を、手前は川を表現しました」。カダイフとはトルコ料理などで使われる細麺状の生地で、揚げ物の衣に使われることが多く、パリパリとした食感がたまらない。この1皿で“ソテー(焼き)”、エリンギや長芋の“蒸し”、“揚げ”の3種が楽しめる。
ほっこりやさしい味で身も心も温まる「甘鯛の蕪(かぶら)蒸し」、シメの釜飯は香り豊かなちりめん山椒にふっくら炊きあがった十穀米と次々に出され、最後のデザートは「堀川ゴボウのティラミスと壬生菜(みぶな)のシフォンケーキ」。京野菜がおしゃれなスイーツに昇華していた。全部で8品、驚きの連続だった。「おだしは根コンブと削り節から取っています。京料理は花ガツオが一般的なので、うちは独特だと思います」