【Room’s】
自分にぴったりな世界でたった1本のオリジナル箸を作ってくれるのが「京都 おはし工房」。独立御箸師として活躍する北村隆充さん(42)が2003年に立ち上げた工房だ。木のぬくもりあふれる扉を開けると、お箸がずらりと100種類以上並ぶ様は壮観の一言に尽きる。毎日使う箸であっても、こだわって選ぶのは色柄だけ、という人は多いはず。自分の手指にしっくりとなじむお箸とは、どんなものなのだろうか。
「この胡麻をつまんでみてください」と北村さんに言われて渡されたのは八角形のお箸。四角のお箸と違って指のあたりが優しく、滑らないのが特徴。小さな豆皿には胡麻が20粒ほど。普段の箸の使い方では滑ってつかむことができなかったが、北村さんから正しい持ち方を教わり、小指の力加減や親指の角度を少し調整してみると、小さな胡麻が簡単につまめる。驚き。その謎はシャープな箸先にあるという。