【国際情勢分析】
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)が、国内外で「政治犯の象徴」とみなされていた元石油王、ミハイル・ホドルコフスキー氏(50)を恩赦で釈放した。来年2月のソチ冬季五輪を前に、人権問題をめぐる諸外国の批判をかわす狙いがあった。だが、10年前にホドルコフスキー氏が拘束されたこの事件は、一政敵に対する恩赦では取り繕えぬ重い代償をこの国に払わせたといえる。
対外関係の足かせ排除
ホドルコフスキー氏は石油最大手「ユコス」(当時)の社長だった2003年10月に拘束され、後に脱税罪などで禁錮8年の実刑判決が確定。10年末には類似の罪状で刑期が上積みされ、来年8月に出所の予定となっていた。国内随一の富豪で、反政権派に積極的に資金援助をしていたため、事件はプーチン政権による「政敵排除」として欧米諸国から猛批判されてきた経緯がある。
プーチン氏は12月20日、ホドルコフスキー氏から提出された嘆願書に基づき、「人道上の原則」に従うとして恩赦の大統領令に署名。ホドルコフスキー氏は22日、釈放後に向かったドイツ・ベルリンで記者会見し、ロシアの政治犯釈放に全力を尽くすとする一方、政治活動やビジネスには携わらない考えを示した。