その後、『AKIRA』は劇場版のアニメとなって世界の映像作家たちに激震を走らせ、SF界にも「大友以前・大友以降」と言わせるようになった。大友自身も、映像作家とマンガ家の人生をリバースエンジニアリングする“クリエイティブ装置”になって、『スチームボーイ』や『蠱師』の制作を手掛けた。
さて、『AKIRA』の筋書きは下欄を見ていただくとして、読者がきっと興味津々になるだろうと思われるのは、この物語が2020年の東京オリンピックに向かってネオ東京の狂乱を描くというふうになっていることだ。大友がこれを構想着手したときは、35年後の東京は不確実きわまりないと見たからであろう。
かつてアーサー・クラークとスタンリー・キューブリックが『2001年宇宙の旅』を構想し、制作したときも、おそらく近未来の異常はせいぜい数十年でおこると予想されたのである。諸君は、そんなこと、おこらなかったじゃないかと言うだろうか。ぼくにはHALもAKIRAもすでにわれわれをとっくに冒していると思われる。