同じニュースでもどこを視座にするかでその重みや捉え方は大きく変わる。福島の原発事故やその後の原発政策はこの小屋から眺めると無責任さが際立ち、猟師たちの中で僕はいたたまれなくなる。タイガの日常を背に見る今の日本は、足元が危うい気がしてならない。(写真・文:写真家 伊藤健次/SANKEI EXPRESS)
■いとう・けんじ 写真家。1968年生まれ。北海道在住。北の自然と土地の記憶をテーマに撮影を続ける。著書に「山わたる風」(柏艪舎)など。「アルペンガイド(1)北海道の山 大雪山・十勝連峰」(山と渓谷社)が好評発売中。
■ビキン川のタイガ ロシア沿海地方に広がる自然度の高い森。広葉樹と針葉樹がバランスよく混ざっており、絶滅に瀕したアムールトラをはじめ、多様な種類の野生動物が生息している。