どの程度のお客さんが入店するかの見通しについては、「えんま帳」がものを言うという。「店では毎日、天気、温度、時間別のお客さんの数といったデータをきちんと記録してきましたので、大体の予想はつきます。だから『100人のお客さんが来る』とみたら、職人たちは時計を逆算してあらかじめ100匹のウナギを裂き始めるのです」
伝統の味を維持するために橋本専務は毎日、うな丼を食べることを欠かさないそうだ。「食材については『どこどこのものを使っているから大丈夫』というのがありません。毎日同じことをやっていると惰性に陥ってしまい、いつも通りやっているから大丈夫だろうという油断も生まれてしまう。米の水分量の加減ひとつで炊きあがりが違ってきますから、毎日、毎日が勝負なんです」(文:高橋天地(たかくに)/撮影:伴龍二/SANKEI EXPRESS)
■割烹蒲焼わかな 神奈川県横浜市中区港町5の20、(電)045・681・1404。営業時間は午前11時~午後9時(ラストオーダーも午後9時)。定休日は月により違うため、要確認。