畳産業の衰退に頭を悩ませる熊本県のイグサ農家が、2020年の東京五輪を契機とした畳の需要増に希望の光を見いだしている。林芳正農林水産相が選手村での畳の使用を推進したいと述べたためで、地元自治体は関係機関への働き掛けを始め、撥水(はっすい)効果を持つ天然畳表の開発も進む。「畳でおもてなし」構想で未来を切り開けるか。
五輪選手村に売り込み
「新聞ば見たか?」。東京五輪決定直後の昨年(2013年)9月18日、熊本県最大のイグサ産地である八代市の田中和彦農産係長(43)に、JA職員から電話があった。スポーツ紙を開くと、林農水相の発言を報じる記事が。「なんてありがたい」。胸が躍った。
林農水相の構想は、選手村で「選手が使う施設をなるべく木で造り、畳の部屋で落ち着いていただく」というものだ。