読書はのんべんだらりとしたものではない。最低でも「読前・読中・読後」という3段階がある。どの本を求めたいのか、そのため書店やアマゾンでどういうふうに本を探すのか。ここにすでに「読前読書」という段階が始まる。選書もまた読書なのだ。ついで、何かの本を1冊か数冊を入手するのだが、これを積ん読するか、ちゃんと読むかはべつにして、読み始める。これが「読中読書」だ。ふつうはこの段階だけを「読書しました」と名付けている。でも、これでは終わらない。その本を自宅か仕事場の本棚に置く。では、それはどこに置くのか。まさかアルファベット順ではあるまい。買った順でもないだろう。そこにはなんらかの工夫がある。ここに「読後読書」が継続していくわけなのだ。積ん読の場合も、床なんかにバラバラに置いておかないほうがいい。
このように、どんな1冊の本だって、われわれの手元に近づいてきたときからというもの、いろいろ旅をするものなのである。本棚というのは、その本が通過する駅のプラットホームであり、百代の過客のための宿屋であり、また自分でつくりだす個人商店の店先なのである。