なるほど、と思う。国情院は、金大中政権が前身の国家安全企画部を廃止した代わりに、大幅縮小・弱体化改編され生まれた組織。前政権の2011年、金正日(キム・ジョンイル)総書記(1941~2011年)死亡は、公式報道直前まで兆候すら把握できなかった。これに対し、朴大統領は人的情報源構築や通信傍受など態勢強化を命じ、張成沢(チャン・ソンテク)前国防副委員長(1946~2013年)の粛清事変では、側近の公開処刑情報を含め早期に情勢を掴(つか)んだ。呑み込み易(やす)い弱い韓国誕生こそ、従北勢力の悲願なのである。
ところで、大統領の父・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領(1917~79年)は大統領が生まれる前の韓国軍少佐時代、前述した《麗水・順天事件》で高位の細胞として逮捕され、死刑宣告を受けたが、捜査協力し刑を免れた。
死刑が執行されていれば、父娘「二人の朴大統領」は実現してはいない。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)