【KEY BOOK】「鬼の研究」(馬場あき子著/ちくま文庫、798円)
日本の鬼をめぐる民俗学および文化史について綴られた名著。著者は有名な現代歌人だが、この本では百鬼夜行とも言われた都大路に出現するさまざまな鬼をとりあげて、日本人の想像力の及ぶところをさぐった。実は恐怖心、畏怖、憎しみ、奇形なるもの、情念の深さ、成長しすぎた魂、死者の変貌、餓鬼の姿、嫉妬心など、そのいずれもが鬼だったのである。すなわち鬼はわれわれの内側にもいるものなのだ。何度でも読み返したい本である。
【KEY BOOK】「鬼の日本史」上下(沢史生著/彩流社、各3059円)
そうとうに興奮できる本だ。日本神話や各地の祭りに出没し、また異様な物語として伝えられてきた多くの「鬼」たちを、まことに大胆な推理によって説いている。日本のマイナーな神々を知るうえでも秀れた展望を提供する。ぼくはかつて「千夜千冊」834夜で絶賛しておいた。本書には東北のアラハバキから節分の鬼まで、山神や天狗から童謡「かごめかごめ」の正体まで、興味つきない話が次から次へと繰り出される。これを読まない手はない。