オーストラリアのシドニーで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2月23日、世界経済の国内総生産(GDP)を従来想定より「2018年までの5年間で2%以上引き上げ、2兆ドル(約200兆円)以上増加させる」ことを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。経済成長の数値目標を明記したのは、G20が08年11月に始まって以来初めてで、極めて異例だ。
声明では世界経済について「日米英の成長が強まっている」と歓迎しながらも、「世界経済は依然として力強く持続的でバランスのとれた成長からは程遠い」と懸念を表明。新興国に経常赤字などの課題を是正するよう求めたほか、米国などの先進国には「金融政策の変更は慎重に進めるべきだ」とする文言を明記した。
閉幕後の記者会見で日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁(69)は「日本は高い成長の実現を目指し、野心的な成長戦略を取っている」と強調した。会議では、電力の小売りの自由化や国家戦略特区など「大胆な構造改革に取り組んでいる」ことを説明した。