王冠をめぐる争いに宗教改革が絡み、王侯貴族が浮足立っていた16世紀の英国。敬虔なプロテスタントの少女ジェーンは、静かな森の荘園屋敷で、プラトンの哲学書「パイドン」を愛読して過ごした。華美なドレスには興味がなく、学者になりたいと願いながら。
だが、母方の血統により王位継承権を持つ宿命から、権力に目を奪われた大人たちの欲望に操られて女王に。ところがジェーンより高次の王位継承権を持つ、カトリック信者の王女メアリー1世の軍勢が挙兵。あっけなく王座を追われる。大人の言いなりのまま不用意に王位を受けたジェーンは、最後、どんな気持ちで断頭台に向かったのか。
「確かに助かる道もあったんです。カトリック教徒に改宗すれば。でも、白井さんの言葉を借りていえば、ジェーンは尊厳ある死を選んだんでしょう。でも私は死にクローズアップするよりは、彼女はどう生きたのか、という面を大切にしたいと思うんです」