作家、天童荒太(てんどう・あらた)さん=2014年2月12日午後、東京都千代田区(宮崎裕士撮影)【拡大】
要は、かっこいいもの好きじゃないですか、みんな。東京都現代美術館とか六本木ヒルズとかに売ってるのと、近所のスーパーに売っているのでは違う。かっこいいと思われる店で販売することで、ブランドとしての影響力が増し、次のフェーズにいける。苦労するかもしれないけれど、まずは上を目指そうと。それは、僕らとブランドのデザインディレクターで話し合って決めた戦略ですね。
何百万のマンパワー
天童 そうした戦略のもと、製品の作り手になぜ「地域作業所 hana(以下ハナ)」(※4)を選んだんですか?
青山 ハナさんしかいなかったからです。当時、他の作業所の方ともやりとりしてたんですけど、ちょっと絶望的な感じだった。どう僕らが工夫しても、壁があった。こっちから情熱を注いでも、温度差が結構あって。向こうは10個作ればいいや、って思ってるけど、僕らは100個作ってほしい。そういうのが往々にしてありました。
要は、作業所の支援員さんは、がんばっても自分たちにはメリットがない。もともとチラシとかおしめを折っていたところに、僕らは新聞バッグという15工程もあるようなものを持って行く。当然、できる人もいればできない人もいる。できない人のフォローを誰がするの、となると支援員。面倒くさいことをクリアしても、支援員の給料は変わらない。そこに全ての根っこがある。