筒井啓介さん(左)、青山雄二さん(右)との鼎談(ていだん)は学習塾の古い机を利用したラウンドテーブルを囲んで行われた。テーブルは「合格するぞ!」などの落書きがそのまま残されている=2014年2月12日、東京都千代田区(宮崎裕士撮影)【拡大】
1個1円が55円に
天童荒太さん(以下天童) では一方の、ハナ(通所施設「地域作業所_hana(ハナ)」)で実際に利用者さんがされているお仕事を教えてください。
筒井啓介さん(以下筒井) うちは就労継続支援B型事業所(※6)です。毎日、地域の障害がある方が通われて、何かしらのお仕事をして、お給料…工賃をもらう。それを続けて、チャンスがあれば一般企業へ就労する。そういうトータル支援をしています。
天童 新聞バッグをハナ独自の企画で作られていたそうですね。
筒井 もともと内職仕事をしていたんですが、月どれだけがんばっても数千円にしかならない。自分たちで価格が決められるオリジナル商品…いわゆる授産製品をきちんと作ろうと思って始めたのが、新聞バッグでした。
でも、当時、モノを作っても売り先がない。営業かけられるだけの人員もないし。そんなとき、青山さんと出会って、バッグをアースデイ東京(※7)で売らせてもらえるチャンスがあったんですね。それが一番最初のお仕事。枚数も1000枚という当時からすればすごい量。