そして、質問を聞いたときに感じた「あらら」は別の思いに変わっていった。記者が尊敬の念をもって率直にぶつけた質問だからこそ、胸を打つ浅田の答えを引き出したのだと。
インタビューは非常に難しい。いい答えを引き出そうとするあまり、回りくどくなったり、気を使うあまり、肝心なことを聞きそびれたり。記者としてそんな失敗を数多くしてきたし、視聴者として見ていて「そんなことを聞きたいわけではない」と歯がゆい思いをしたこともある。
この会見では、記者からもまっすぐな気持ちが伝わってきた。だからこそ、浅田も帰国直後にもかかわらず終始にこやか、会見もいい空気に包まれたのだろう。来季の現役続行の可能性を直撃された浅田が答えた「ハーフ・ハーフ」は流行語になりそうだ。
それにしても、「大事なときに必ず転ぶ」発言の森元首相について問われた際の「少し後悔しているのでは」には爆笑した。記者、回答者ともに「大人」の会見。すがすがしく見終えた後、少しうらやましく、少し反省した。(小川記代子/SANKEI EXPRESS)