□SOCHI OLYMPICS
涙は、安堵(あんど)感があふれさせたものであるのだろう。前日のショートプログラム(SP)で信じがたい失敗を繰り返した後悔の涙もまじっていたかもしれない。これで、五輪の舞台、真剣勝負の場とはお別れなのだという、惜別の涙でもあったのかもしれない。フィギュアスケーターの道をいつも応援してくれた、亡き母の顔が浮かんだのかもしれない。
口に浮かぶ笑みは、五輪の舞台で自分の演目を滑りきることができたという満足感が作り出したものだったのだろう。スタンドの拍手も、笑顔の後押しをしたに違いない。いつも笑顔で滑っていた、スケートが楽しくて楽しくて仕方がなかったころを思い出したのかもしれない。
これほど美しい、泣き笑いの表情は珍しい。
浅田真央(まお、23)はソチ五輪のフィギュアスケート女子の競技を、6位入賞の成績を残して終えた。