宮城県気仙沼市【拡大】
東日本大震災3年を前に、宮城県を縦断する取材旅行に出た。がれきはすっかり片付き、まばらではあるが建物も建った。一見するとどこまで津波が来たのか分からない。同じ場所を取材した2年前に比べ、「復旧」は確かに進んでいるように見えた。
気仙沼市では、大津波で打ち上げられた巨大な船「第18共徳丸」が昨年(2013年)、撤去された。跡地を訪ねたのだが、周囲は何もない空き地。新たな道路もできていて、船がどこにあったのか特定するのは難しかった。
巨大な陸の船は震災後、津波の恐ろしさを伝える物言わぬ語り部となった。船を見学し、近くの仮設商店街で食事をする。大手旅行会社などがそうした被災地を訪ねるツアーを企画し、商店街もにぎわったという。
しかし、船が撤去されて以降、客足は一気に減った。ある店主は「正直、津波の恐ろしさを体験できる“震災遺構”も仮設商店街も沿岸各地にある。別の震災遺構を見て、その近くの商店街に寄ろう、とツアーの行き先が変わってしまったのだろう」と語る。