好きに生きましょうよ
積み重なった怒りや嫉妬心は、やがて心で蓋をしておけなくなり、腐臭を放ちはじめる。劇中、登場人物に小さな虫がたかる場面がある。もめたり泣いたりする女たちを俯瞰で見つめる小さな虫。松田は「あなたのついた小さな嘘や、負の感情は、周囲に見透かされてますよ、というのを象徴しているんじゃないか」。
「うん、うん、そうね」と石田も応じ、「ねたみや優越感、うじうじしたものから目をそらさずに、ちゃんと乗り越えないと、次の幸せは得られないし、そうしたほうがすがすがしいよ、って言われているような気持ちになった」という。
バブル期、オウム事件や阪神大震災があった1995年、バブル崩壊後の「失われた10年」と、3つの時代を女たちは生き抜く。会話には時代性を感じさせるユーモアが散りばめられ、随所に笑える場面がある。「どんな悲惨なことが起こっても、結局、笑って次へ進んでいくのが女性なのかもしれませんね」(松田)
背筋が寒くなる場面もあるが、登場人物はみな愚かゆえに愛らしく、たくましい。「起こることの大半は、意味がない。人間、生きていれば何でもあり! だから好きに生きましょうよ」(石田)と、さばさば笑い飛ばして楽しめる舞台だ。(津川綾子/SANKEI EXPRESS)