豪華な30人の執筆陣
かつて、母に「なにか読む本ない? 長くないので」と言われて、これだと貸した本が『輝きの一瞬 短くて心に残る30編』(中島らもほか著)です。
この短編集のなにがすごいかと言えば、まず執筆陣がすごい。帯には『名手30人による』とあるのですが、名手も名手、凄まじいばかりのラインアップです。敬称略で挙げていくと、中島らも、桐野夏生、藤原伊織、篠田節子、高橋克彦、佐々木譲、加納朋子、嵐山光三郎…30人全員書き連ねる勢いで、きりがありません。よくぞここまで4番バッターをそろえたという感じです。この本の刊行年月は1991年1月で、かなり昔のものではあります。それでも、今ここに名を連ねている30人の執筆陣を見ると、やはりすごい作家ばかりだと、素直に思ってしまいます。残念ながら他界してしまった方もいますが、遺した作品は愛され読み継がれている。逆に古い本だからこそ、時代を越える実力のある書き手が集結していると実感できます。