理化学研究所の研究ユニットリーダー、小保方(おぼかた)晴子さん=2014年1月28日(伊藤壽一郎撮影)【拡大】
撤回が急浮上したのは共著者の若山照彦・山梨大教授が3月10日、他の共著者にいったん取り下げることを呼び掛けたのがきっかけだった。若山教授は、STAP細胞ができた根拠となる画像が、小保方氏が2011年の博士論文で使用した別の研究の画像とそっくりだと9日に知り決意したと説明。STAP細胞が存在するかについては「信じたい。しかし信じられなくなるほど間違いが見つかっている」と話した。若山教授は、STAP細胞の作製自体には関わっていなかったという。
STAP細胞への疑問は、1月下旬の成果発表後、間もなく出始めた。主な指摘は、STAP細胞が胎盤に変化したことを示す画像が別の実験の画像とよく似ているほか、DNA分析の画像に加工したような跡があるとの内容だ。引用を明記せずに他人の論文の記述を引き写したことも疑われている。
「結果を出さなければというプレッシャーから一線を越える人もいるかもしれない」と大阪大助教の男性は話す。
実験結果の中でも特に理想に近いものは「チャンピオンデータ」と呼ばれる。研究者はそれを求め実験を繰り返し、偶然に一度だけ出た結果を選んだり、データの捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)などにつながったりしかねない。