大きな代償伴う可能性
旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイとして東独に勤務していた1989年、「ベルリンの壁」崩壊に直面したプーチン氏は、旧東側陣営が解体する悲哀を身をもって体験。欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)が東欧やバルト諸国に拡大し、旧ソ連諸国にも影響力を及ぼす事態を苦々しく思っていた。そこへプーチン氏が欧米諸国の関与を疑う政変がウクライナで起き、行動を起こしたというわけだ。
ウクライナで親欧米政権が固定化すれば、ロシアが死活的に重要と考えるクリミア半島南端の黒海艦隊駐留までが脅かされる。ピョートル大帝やクリミアを併合した女帝エカテリーナ2世を敬愛するプーチン氏は、今回の政変で帝国主義への共感を発露させ、一気に攻勢に出た。だが、欧米の対露制裁が本格化すれば、ただでさえ停滞が鮮明なロシア経済への打撃は必至だ。
プーチン政権の行動が、中長期的に重大な代償を伴うものとなる可能性は決して低くない。(SANKEI EXPRESS)