ロシア上院がウクライナ南部クリミア自治共和国への軍事介入を承認した3月1日、クリミアの中心都市シンフェロポリでは、自治共和国の多数派、ロシア系住民がロシアの庇護を求めるデモを行っていた。「ロシア軍歓迎」を語るロシア系市民は、親露派政権が崩壊した政変について、首都キエフや西部とは異なる受け止め方をしている。
「ロシア、クリミア、プーチン!」。数百人のデモ隊が巨大なロシア国旗を広げながら中心部を練り歩いた。行き交う市民も同調し、「ロシア! ロシア!」と連呼の声を上げる。
運転手男性のプチュコフさん(47)は「私たちにキエフの大混乱は必要ない。欲しいのは安定と秩序であり、それをもたらしてくれるのはロシアとプーチン(大統領)だけだ。キエフのファシストこそがウクライナの分裂主義を招いている」と語った。
キエフ中心部では、前政権打倒につながった独立広場(通称マイダン)のデモを支持し、治安部隊との衝突で死亡したデモ参加者を悼む声が多かった。昨年(2013年)11月に大規模デモが始まったのも、治安部隊との衝突で80人以上の死者が出たのも、主な責任は前政権にあるとの見方だ。