ウクライナ・首都キエフ【拡大】
反政権デモを続けていたウクライナの野党勢力は2月22日、首都キエフの大統領府や最高会議(議会)庁舎など中枢を掌握し、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領(63)は自らの支持基盤である東部ハリコフに移動した。議会は大統領解任を決議し、大統領選を5月25日に前倒し実施することも決定、政権は事実上の崩壊状態に陥った。一方、22日に釈放された大統領の政敵で最大野党「祖国」有力者であるユリア・ティモシェンコ元首相(53)はキエフの独立広場での演説で「私は仕事に戻る」と宣言。大統領選出馬などに意欲を示したが、かつての熱狂的な国民の支持は見られず、ウクライナは国家分断の危機に直面している。
「英雄は死なない」
収監先のハリコフで釈放されたティモシェンコ氏は、早速キエフに飛び、空港では記者団に対し、「ウクライナは近く欧州連合(EU)に加盟する」と断言。独立広場に直行すると、「ヤヌコビッチと取り巻きのくず連中を独立広場に引きずり出し、断罪しなくてはならない」と演説し、宿敵への復讐心をむき出しにした。さらに「(反政府デモで)広場に立った人、殺された人は英雄だ。英雄は決して死なない」などと語った。