≪NATO介入 米露直接衝突を招く恐れ≫
北大西洋条約機構(NATO)は3月2日、ロシアがウクライナ南部クリミア半島への軍事介入を決めたのを受け、加盟28カ国の大使級による緊急理事会とウクライナ代表との会合を開き、対応を協議する。だがNATOによる軍事介入は、西欧諸国を主導する米国とロシアとの直接衝突につながりかねず、実行に移すのは極めて困難だ。
ウクライナは1990年代後半以降、NATOから軍近代化の支援を受けてきたほか、アフガニスタンでもNATO軍主体のISAF(国際治安支援部隊)に駐留部隊を派遣している。ウクライナが攻撃され、混乱が広がれば、欧州の安全保障情勢にも重大な影響を及ぼすのは必至だ。
ただ、ウクライナはNATO加盟国でないため、ウクライナが攻撃されても、NATOがただちに集団的自衛権に基づく軍事行動を起こすことはない。緊急理事会は、ウクライナ支援の方策について協議し、NATOとしての結束を確認し、ロシアを牽制(けんせい)するとみられる。