もちろん、ルス・コレヴァの音楽そのものが素晴らしく、その経歴を抜きにしても純粋に楽曲のクオリティーの高さで語るには十分な存在ではある。しかし、やはりその出身地に興味を持たないわけにはいかない。多くの日本人にとって国名から食べ物以外のものを想像するのが難しいこの国から、ワールドワイドに支持される音楽がリリースされたことはニュースとして取り上げるに値するのではないだろうか?
ブルガリア独自の音楽は、トルコやギリシャといった近隣国の影響を受けているといわれているが、そもそもトルコやギリシャの音楽性を理解している日本人は決して多くないはずだ。日本の現代ポップミュージックに古典的な音楽性を見いだすことが難しいのと同様に、彼女の音楽からブルガリアの伝統音楽のDNAを明白に聴き取ろうとすることなどナンセンスなのかもしれない。仮に無意識的な旋律の影響を分析できるとしても、世界を旅してきた彼女にとってそれは重要ではないような気がする。